淑女の仮面の下の本能は・・・

ここは河原町三条。

ちょうどランチタイム。

「ササッと」短時間で食べられるのがいいな。

そこで洋食のムッシュいとうへ向かった。

ここのランチは洋食ビュッフェ。

何を食べるか考える時間も、注文した料理ができるまで待つ時間も不要だ。

自分で好きなものを好きなだけ取って食べるスタイル。

だからこそ「ササッと」食事ができるのだ。

席に案内され、早速料理を取りに行って食べ始めた。

4席隣(途中の席は空席)の女性が、カチャカチャと音を立てて食べている。

見ると、それはカレーライス。

カレーをご飯に混ぜるためなのか、スプーンで切るようにしてカチャカチャと音がする。

まあいいか、と気にしないでおいた。

しばらくして、その女性が席を立ち、再びカレーライスを持って帰ってきた。

また同じようにカチャカチャとスプーンでご飯を切るようにカレーを混ぜて食べ始める。

よほどカレーライスが好きなんだな、と思うに留めた。

またその女性が席を立ち、カレーライスを持ってきて、同じ所作で食べ始めた。

さすがの私も、ここで少し考えた。

この女性は、私が来る前から何かを食べていたのだろう。

私が来た頃には、主だった料理は一通り食べたはずだ。

そして今は3杯目のカレーライス。

確かに、カレーライス以前にどれだけの量を食べたのかは私には分からない。

確実に言えるのは、1人で来ている女性だということだ。

ふむ、そういえば1人で来ている女性は思いのほか多い。

何気なく気にしていると、彼女たちのお代わりの頻度はなかなかのものだ。

もちろん「元は取らなければ」という気持ちはよく分かる。

だが、明らかに元は取っているようだし、何ならビュッフェスタイルにしてしまったお店を後悔させてやろうかという気迫すら感じてしまう。

そんな空気に感染させられたように、「ササッと」ランチを済ませるつもりだった私もお代わりの回数が増えてしまい、「ササッと」とは正反対の「ガッツリ」ランチになってしまった。

計らずも見てしまった淑女の仮面の下の生存本能と、食べ過ぎてしまった後悔、それなのにその満腹感に恍惚とする矛盾。

そんな複雑な味わいを胸に、お店を後にした。

ムッシュいとう

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